今日のつぶやき。

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ガンバレ、セルカン!

ながらくブロク更新を怠っていました。
まあ、いろいろと忙しかったわけで。。。

さて今日は、以前からつぶやいていたセルカン問題について。
東大初の博士号取消という前代未聞の事態が起こったと、報道されたというのは、みなさまもご存知でしょう。

工学博士の学位を取得した論文で「悪質な盗用」をしたとして、東京大学が、博士の学位を取り消した大学院工学系研究科のトルコ人研究者、アニリール・セルカン助教(36)について、文部科学省が東大に対し、学位の審査体制に不備がなかったか調査・報告するよう指示したことがわかった。東大は今後、懲戒処分を検討する。

 博士の学位剥奪
はくだつ
は2日付で、東大史上初めて。大学側の事情聴取に対し、助教は盗用を認めた。助教は自身のブログなどで、米航空宇宙局(NASA)から、トルコ人初の宇宙飛行士候補に選ばれたとも説明しているが、NASAは読売新聞の取材に「該当者はいない」と回答している。

 5日の東大の発表によると、助教が2003年に博士の学位を取得した際の論文「宇宙空間で長期居住を可能にする軌道上施設に関する研究」全376ページのうち、4割にあたる149ページで他人が書いた文献やデータの盗用が見つかった。出典を明記せず、自分の成果のように装った部分もあった。

 助教は1999年に工学系研究科(建築学専攻)の研究生になり、05年に同科の助教(当時は助手)に採用されたが、その後、論文の不正を指摘する情報が寄せられていた。

 助教は計9年近い東大在籍期間を通じ、工学系研究科の同じ研究室に所属。博士論文は同科の5人の教員が審査したが、審査を取りまとめたのは、この研究室の指導教授だった。東大によると、一部の学科・専攻では、審査の透明性を高めるため、指導教官が審査委員に入ることを認めていないケースもあるが、工学系研究科では兼任することは珍しくないという。

 学位の取得後に一時所属していた宇宙航空研究開発機構の調査で、別の論文でも学術誌への掲載が確認できないといった不正が見つかっている。

(2010年3月6日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20100306-OYT8T00297.htm

引用した記事のなかにもあるとおり、彼は宇宙飛行士候補に選ばれたという自称もしてたりしてる。
ほかにもいろんな怪しい経歴を世間に曝しているのだ。
では彼の華麗なる経歴について触れていこう。

宇宙飛行士候補ってホント?

まず、宇宙飛行士候補について。
http://blog.anilir.net/?pid=1204
上記の彼のブログのプロフィールに、「、2004年トルコ人初宇宙飛行士候補に選ばれる」と記載されている。
そのときの写真が↓これだ。

(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/astronaut

とはいえ、すでに上記の検証サイトでも触れられているけど、この写真、明らかにコラージュだ。

このNASAの記章が使われていたのは1992年まで( 参照:NASAの記章の歴史)
宇宙服が古い。現在は腕と肩が一体になっている(参照: 近年の宇宙服の写真)
胸のパッチは1992年のSTS-49のもの(参照: STS-49に関するNASAサイト)
なぜかトルコ国旗をつけていない(参照: 近年の宇宙服の写真)
肩幅と顔の中心があまりにもズレ、顔が正対している(参照:右画像)
(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/astronaut

また、宇宙飛行士候補のリストにもセルカンの名前は載っておらず、嘘だということが明らかにされてしまっている。
(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/astronaut

スキーで金メダル?

また下記のサイトのプロフィールには、元アルペンスキーヤーで、トルコ人初の金メダリストという記載がある。
http://www.semi.org/jp/News/MailMaga/P044109?utm_source=tsushin&utm_medium=email&utm_campaign=tsushin200807

また、彼の著書『ポケットの中の宇宙』では「「1987年: イタリア、セストリエールで開催されたU20ヨーロッパジュニア大会の大回転で金メダル」「1988年(15歳): スキーの回転競技でカルガリーオリンピックに出場、14位の成績」としている。(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/alpine
しかしながら、カルガリーオリンピックの公式記録には彼の名前は確認できない。(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/alpine

プリンストン大学講師ってホント?

彼のプロフィールには、「1997年プリンストン大学数学部講師就任」とある。

しかしながら、

プリンストン大学数学科の1996年11月からのサイトアーカイブにはセルカン氏の名前がない(http://web.archive.org/web/*/http://www.math.princeton.edu/
逆にSpace Architecture Technical Committee Membersには、1997年時点ではセルカン氏がEuropean Space Agency(欧州宇宙機関:ESA)にインターンとして勤務していた記録がある
現在、研究室公式ホームページでは「プリンストン大学講師 (レオナルドプログラム)」となっているが、「レオナルドプログラム」は、「交換留学生プログラム」と、ご自身がブログで紹介している
(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/history

それまで建築を専攻してて、学部を卒業した程度で、プリンストンの数学部の講師に就任するなんて、スゲー優秀だなぁなんて思っちゃったりする。それにプロフィールでは、1999年にバウハウス大学の修士課程を修了とあるから、建築の修士課程在学中にプリンストンの数学部の講師をやってたということになる。めっちゃ頭いいんですね!セルカンさん!

華麗なる受賞歴はホント?

ほかにも、
・2005年に ケンブリッジ大学物理学部 特別科学賞を表彰される
・2005年に科学や技術の開発の結果による、America Medal of Honorアメリカ名誉賞)受賞
なんていう輝かしい受賞歴もあるようだけど、

・2005年 ケンブリッジ大学物理学部特別科学賞受賞:セルカン氏の受賞記録はWeb上に存在しない
・2005年 America Medal of Honorアメリカ名誉賞)受賞:セルカン氏の受賞記録はWeb上に存在しない
・America Medal of Honorアメリカ名誉賞):そもそも「Medal of Honor」は「名誉勲章」で軍人の最高位の勲章。科学分野では「アメリカ国家科学賞」があるが、対象者はアメリカ市民
(出典:http://sites.google.com/site/introserkan/history

ということらしい。うーむ。

まぁ、ほかにもいろーんな怪しい経歴が披露されているわけだけど、なぜ周囲は怪しいと思わなかったのか。。。つくづく思ってしまう。
東大を始めとして、騙されちゃった人たちは多数なんだよなぁ。

たとえば、

串本町は1日、 新町誕生後初の 「串本大使」 の任命書をアニリール・セルカンさんに交付した。
(出典:http://minamikisyu.i-kumano.net/news/2007_09/20070902_00.htm

とか、

坂本龍一氏推薦!
セルカンは宇宙飛行士だとおもったら、時間旅行者でもあったのだ!結局のところ、それは同じことなのかもしれないね。
http://www.amazon.co.jp/dp/4479391398


教授まで、彼の著書の帯に推薦文を寄せていたりするし。

宇宙エレベーター

宇宙エレベーター


また、彼のブログによると、相川七瀬まで巻き込んでるし。。。

大好きなシンガー相川七瀬さんやジュエリーデザイナーの大學さんたち仲間と夕飯のひと時を過ごしました。
(出典:http://blog.anilir.net/?day=20060908


それとか、東大で行われたシンポジウムでは、批評家の東浩紀さんをはじめとする人たちと同席したりして、一緒に写真まで撮っちゃってるし。
http://content.iii.u-tokyo.ac.jp/future/symposium01.html

(出典:http://blog.anilir.net/?month=200803

あ、あずまんまで。。。

すごいよね。

普通の神経をしてたら、こんな嘘をついて人を巻き込んだりするのって心が痛んだりするだろうに、と思うのだが、彼は違うのだろう。

あるブログに掲載されていたトルコの雑誌かなんかのインタビューの翻訳があるのだが、引用してみよう。

アルピン:メディアではあなたについて色んな情報が飛び交っています。でも、その中には互いに矛盾するものもあるわけで。是非ご本人の口から本当の所を伺いたいのですが、まずですね、日本でAssociate Prof.(准教授)の肩書きを持つ人間として、貴方が最年少だというのは事実なのでしょうか?

セルカン:間違った報道ですね。日本ではなく、東大の中でってことです。うちの学校だと、准教授になるのって大体38歳くらいなんですよ。それも全てが順調に言った場合の話で。ニュースってものは各自の解釈で書かれ、広まってしまいますからね。貴方の配信する情報が一番正しいってことになりそうです。

アルピン:残念なことに、一部のジャーナリストは誇張や捏造を交えて記事を書くわけで、メディアにおける全てのニュースに信頼が置けるわけではないですよね。

私自身も、かつて新聞や雑誌のインタビューを受けた際、こちらの発言が誇張されていたり、また言ってもいないことを言ったことにされていたりして、大きな問題を抱えたことがありました。

どうしてそんなことをしたのかと文句を言うと、記者たちは全ての罪を編集者に押しつけるのです。“編集者がやったのだ。我々は何も知らなかった。”とか、“編集者には何も言えない”みたいに弁解するという。

最近でも4、5年前に、新聞のインタビュー記事にこちらが言ってもいないことが書かれていて、それに対して反発したことがありました。その時の記者が言うには、“貴方は正しい。今回の記事では記事を書いたのも編集をしたのも私です。だから言い訳のしようもない。”とのこと。

でも、訂正記事の一つも掲載されなかったな。それが最後ですよ。もう4〜5年というもの、新聞やTVからのインタビューの依頼は断ってますかね。唯一の例外は、知り合いで信用できる幾人かの人間と、信頼できるTRT(トルコ国営放送)だけですね。

そういうわけで、我々は貴方に関する全てのことは貴方から、つまり最初の情報源から情報を得ようと思っているのです。

セルカン:それはとても良いことですね。

(出典:http://blog.goo.ne.jp/karategin/e/155384c2e1dee32f76f2327b5eefb854

いや、よくないでしょ。
そもそもあんたの言ってること自体が嘘なんだしさ。

おそらく、日本の准教授のなかで最年少と言ったのは、彼自身だ(要出典)。
でも、それを突っ込まれると報道のされ方がおかしい云々をいって、「東大の中で最年少だ」なんて言ったりする。でも彼は東大の准教授じゃなくて助教で、その時点で嘘だし、トルコ人には東大の事情なんて知る由もないし、その辺の情報格差を使ってうまく逃げるわけだな。

まぁ、いままではそれで逃げてこれた。

でも、今回の博士号取消について、彼の言い訳が自信のブログに掲載されているのだが、なんとも歯切れの悪いこと悪いこと。
http://blog.anilir.net/
詳細は是非読んでもらいたいのだが、要はコピペじゃなくて、参照した論文と参考文献のリストが照合できる番号をふらなかった単純ミスによるものらしい。それについて、弁明をしたが、わかってもらえなかった。報道では自分はコピペのことを認めたとされているが、俺は認めてないとのこと。なんだかなぁ。

でもさあ、東大から↓こんな公式文書がでているわけだし、
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_220305_j.html

<悪質な盗用の態様例>
 ・ 原典における主語を著者に相当する語(I等)に置き換える
 ・ 原典の表現に著書の関与を加筆(by the Author等)
(出典:http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_220305_j.html

なんていう悪質な盗用まであきらかにされちゃってるんだよな。
もう逃げられませんぜ、セルカンさん。

博士号取消で、今後は懲戒処分も待っている、イバラの道のセルカンさんだけど、たぶん彼はこういう試練をうまく乗り切っちゃって、しぶとく生きて行けるのではないか?
「元・東大博士」「元・自称宇宙飛行士候補」の肩書があれば、うまくやれば引っ張りだこかもね。たけし軍団あたりでどうかなぁ。

それに、嘘や詐称はともかく、彼の言う事に惹きつけられた人が多数いたということは、彼にはそれなりに人間的な魅力があるのかもしれない。
もし、僕が彼を目の前にしたとしたら、彼のことが大好きになってしまうかもしれないし、嘘は別として、いい奴なのかもしれない。

なので、

ガンバレ、セルカン!

でも、もう嘘はついちゃだめだ。
正直に生きてくれ!

僕が言えるのはこれだけだ。