浜松/ハママツから考える(?)

Twitterのつぶやきでも書いたが、先日、所用があって浜松へ行ってきた。

以前からうわさには聞いていたが、駅前の寂れっぷりはすごいものがあった。日曜日だというのに、駅前の商店街は人もまばら。なんだか暗〜くて陰気くさい街になってた。思わず唖然。昔は、多くの人で賑わっていたのだが。

浜松の人口は82万人。政令指定都市でもあるので、大きな都市であることは間違いない。では、人びとはどこへ行ってしまったのか。

どうやら、郊外にショッピングモールができて、そこへ人が流れていってしまってるようだ。まぁ、よくある話だが、東京に住んでいるわたしには全く実感がなかったものの、それを浜松の地で体感してしまったわけだ。

ショッピングモールが郊外にできることによって、駅前の商店街がシャッター街化して、ファスト風土化・ジャスコ化が進んでけしからん云々というのはたやすい。
浜松の住民が、家族で買い物をするということになると、雑多な人の流れで溢れる商店街を歩くよりも、車で整備されたショッピングモールに行ったほうが、歩きやすいし快適に買い物ができる。車がなくても、浜松の駅前から100円で乗れるシティバスもでているので、それでいけばいい。

なので、浜松に住む人たちはそういった便利さと快適さを十二分に享受しているので、東京からたまたま訪れたような輩がこういった事態を憂うのは、一面的にすぎないということか。単に、駅前の商店街が賑わっていた時代を一方的に、かつ郷愁的につぶやいてるに過ぎないということになるのかもしれない。

浜松といえば、日経ビジネスオンラインで、「未来世紀ハママツ」というコラムが連載されていて興味深く読んだ。

浜松は、人口約82万人のうち約3万人が外国人で、そのうち2万人弱がブラジル人だという。そういえば、まばらな人のなかに、ブラジル人がポツポツいた。

金融危機の影響で、自動車工場で働く大量の人びとが職を失った。
そこで働くブラジル人の労働者も同様に大量に職を失ったのだが、驚くべきことに、ブラジル人のホームレスはほとんどいないのだという。

たしかに、駅の近くのガード下で、失業者向けの炊き出しを行っているのをみたが、そこにはブラジル人の姿はなかったような気がする。
この街にはネットカフェはそれほど多くない。24時間営業のマクドナルドも、ファミレスも絶対数が少ない。では、職を失ったブラジル人たちは一体どこにいるのか?

詳細は、このコラムを読んでほしいが、要するにブラジル人同士の相互扶助の関係がかなり濃密にできているので、まだ職があるブラジル人が職を失ったブラジル人を助けているということらしい。なるほど。ハママツにはソーシャルキャピタルが活きているということか。

グローバル化少子化が進むなかで、外国人の受け入れは、わたしたちにとって不可避の問題となっている。そのなかでいかに彼らと共生していくべきか。日本における移民問題をハママツは先取りしている。
しかしながら現状は、浜松の人びとは、隣人であるはずのブラジル人を身近な存在として意識していないとか。そこには、分断線が存在しているのだ。

この分断線の双方にある、浜松とハママツ。
一方は、ある種の郊外化の問題を抱える浜松。もう一方は、ブラジル人の失業問題があるもののソーシャルキャピタルが機能しているハママツ。

この分断線の間で、考えるべき問題が詰まっているような気がする。

ところで、その浜松/ハママツだが、鰻の旨さは健在だった。適当に入った老舗と思われる鰻屋(ここも、ひところ昔は多くの客でごった返したと思われるのだが、わたしたち以外に客はまったくいなかった)で、鰻の骨をつまみにビールを飲み、鰻重の特上を食す。まじうま。

また用事を作って浜松/ハママツに行くことにしよう。


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