働かずに好きなことヤレ!?

痛快な本である。

働かざるもの、飢えるべからず。

働かざるもの、飢えるべからず。

ベーシックインカムと100%の相続税とエネルギーフリーで社会を回していってしまえという大胆な考察。

そもそも人間は、働いてなどいなくて、なにも作りだしていない。自然から収奪をするのが農業、人を収奪するのが第3次産業等々といったように、人間は働かずに収奪しているだけだ、と。
ポランニーも似たようなことをいってた気がするが。
経済の文明史 (ちくま学芸文庫)
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要するに、本来、「タダ」のものに勝手に値段をつけて、自分のものだ!と囲い込んで溜め込んでいるだけだ。そんなものは死んでしまったら向こう(アチラの世界)に持っていけるわけでもない。だったらそんなものは、社会全体がうまく回るように流してしまえ!といったところだろうか。

ベーシックインカムについては、いままでいろいろと読んできたつもりだ。たとえばゲッツ・W. ヴェルナーの『ベーシック・インカム基本所得のある社会へ」は、それはそれでかなり面白い本だったが、ベーシックインカムをベースに、ここまで大胆な社会構想を行った本は読んだことがない(もしそういう本があったら、教えてくださいね)。

ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ

ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ

ベーシックインカムについては、財源云々の議論が行われることが多いが、「弾流」社会では、相続税を100%にして、使いきれなかった富を死後、社会に還流することによって確保するというものだ(著者によると、年間80兆円とのこと)。

上記で触れたヴェルナーの本では、たしか消費税を財源にするという考え方であったと思う。
では、

所得税や消費税など=生きているうちに払う税金
・死んだときにドンと払う税金

このどっちがいいでしょう?ということになる。
生きているうちに払いたくもないものを払うよりも、人生を全うしてからドンと払うほうがいい。痛みも感じない。遺産相続の争いもなくなるし、ハッピーになれる。
このような社会相続で損をするのは、お金持ちの子弟だけ。子孫に残すのは、金銭ではなくて、能力という考え方にシフトせざるをえない。そうなれば、金持ちの子どもとそうでもない子どもの機会不平等もなくなる。

また著者は、「私たち一人ひとりが大事な公共財」、つまりいちばん大事な公共財をわれわれ一人ひとりととらえて、「その構成員=公共財に還元する」という考えかたを提唱する。ベーシックインカムによる直接福祉型の社会である。そうすることによって、もはや底が抜けてしまった社会を修復すべく社会の成員へと直接投資し、国家から自立した「社会」を作り上げるといったことも可能になるのではないか。

ここでは、ベーシックインカムに絞り込んで紹介してしまったが、他にも、エネルギーのパケ放題化などのような面白い論点が満載の本である。

明るい社会を待望している人は是非ご一読を。
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